【感想】堕天作戦 地獄献上 Part5【再掲載】

感想

堕天作戦 マンガワン9月掲載分の再アップです。既読の方は申し訳ありません。

現在軸での展開はさほど進まないのですが、過去編でコサイタスをさらに掘り下げていってますね。

丁寧で繊細な葛藤描写と壮大なスケールを同時に展開できる手腕は本当に惚れ惚れします。小説家に向いているという意見も納得です。でもやっぱり山本先生のコマ割が好きだからマンガ描いていてほしいなあ。

冒頭はヘリオスのお葬式からです。棺を三ツ星の国旗で包むのは、昔に外国の映画で見たアメリカ軍人のお葬式のようです。遺体は燃やしてしまうのかな。アマチあたりが細胞を残していそうですがどうなのでしょう。(クローン技術もすでにあったと思います。不死者のクローンってどうなるのでしょう。アマチはヘリオスが不死者であることを疑っていたようですが、不死者だとわかっていればもっと追求した研究をしていたと思うともったいないですね)

シャクターがセイロンから独立宣言したのはこの時だったのですね。シャクター率いるセイロン進駐軍がそのまま戴天軍になっても、部下が本国に離反したりとかなかったのはシャクターの人望と実力所以でしょうか。セイロンは現スリランカかと思うのですが、シャクターは結構遠いところに派遣されていたのですね。本国の討伐軍はすぐにシャクターたちを討てる気でいたようですが、実は討伐軍が戴天党の実戦練習扱いでした。

さて、本編で見ることが叶わなかったギョーマンの活躍がまた見られて嬉しい!

回想編は読者へのサービス満載ですね。(外伝や過去編はプロット上本編でみられなかったシーンが再現されて嬉しいです。)ギョーマンは地上戦で多数を相手にする時に有効な魔法使いです。彼も当千術士の称号を得ています。ダルガパルのボルカと同じです。

そのギョーマンを「活きのいい魔法使い」で流すくらいだし本国幹部は余裕で勝てるつもりだったのでしょう。「ベターな対処」とか言ってるあたり勝ち戦前提で、より損害を少なくする方法を模索していたようです。まさかシバのような戦力があるとは思わなかったのですね。

鵺と怪蟲の混成部隊について今では見かけますがこの時は新しかったのですね。人間からみてもシャクターの発想や戦術は新しいんだろうなあ。余裕綽々の指揮官たちの中で、1人シャクターの戦術を見抜いている女性士官がいましたが、まさか地面を掘って攻撃してくる手法があるとは思いもよらなかったようです。

子シバが「ヒョッヒョッ」と地面から出てくるの可愛いわ〜⭐︎鵺の鳴き声が「よいしょっ」みたいなノリで使われてる。子シバによって一気に司令部が殲滅。怖い戦力です。

ギョーマン・シバに続いて活躍を見せるのはコサイタスです。

コサイタスの魔法は虚術の一種とケレスにも言われていましたが、同じ虚術使いのシバから学んだのは胸熱です。触れずにも相手の熱を下げる術を身につけたコサイタスは、大気を凍らさなくても致命傷を与えることができるようになったのですね。コサイタスの魔法って周りへの被害が大きいし、大砲みたいな使い方しかできなくて勿体無い気がしていましたが、機関銃のような使い方もできたんですね。

コサイタス自身は昇華しきれない思いをただ戦いにぶつけているだけのようですが、総裁コサイタストップ自らが出撃するというのは味方にとっても士気があがると思います。それもコサイタスがトップにふさわしい性分だと思うし、コサイタスが独白している理由も全部当てはまる気がします。シャクターやギョーマンでは人魔それぞれから不平が出そうだし、ヘリオスを失ったコサイタス自身のためにも別の鎖が必要だと思うし。

コサイタスのヘリオスへの葛藤は深すぎて私の頭じゃなかなか理解できないのですが、コサイタスはヘリオスに出会って温度を知ってしまった。そしてヘリオス亡き後、自分がもう温度を感じることができなくなってしまったことを再認識してしまったのかな?と解釈しています。

自分は地獄を作り出すことしかできない。しかしそんな時に同じ地獄を作り出す炎術士のピロと遭遇します。

ドドドッの炎弾の場面を見ただけで「ピロだ!」と心が滾りました。

ピロとコサイタスが戦ったらどうなるのだろうとは堕天読者は一度は想像したことがあるシチュだと思います。

読者的に非常にテンション上がる胸熱シーンですが、読者サービスで入れてくれた訳ではなく、よく考えたらシャクターが「オーパスの東側の中立区域に本拠を定める」と地獄献上Part3で言ってましたね。【あらすじ】地獄献上Part3【先読み】

つまり戴天党から西にずれればオーパス領域です。ピロと戴天党が交戦するであろうことは作者さん的には決まっていたのですね。改めてプロットの強固さにため息がでます。

さて、若かりし頃のピロつええ!彼も当千術士扱いだったのですね。そして憎々しい笑顔!この人は変わってなくて堕天随一の癒しです(?)コサイタスの独白に一緒になって沈んだ心が浮上しました。ありがとうピロ!!

同じ地獄仲間でヘリオスがピロに先に出会っていたら、、とコサイタスは想像しますが、読者のほとんどが突っ込んだように「ピロとヘリオスは絶対合わないから相棒にはなりえない」ですね。ただの必然まで「天啓だ」とヘリオスの意思を感じて涙してしまうコサイタスをシバは心配しています。そりゃお父さんが宗教じみた熱意で亡人のために動いていたら賛成はしかねますよね。でもそれで遺された人(コサイタス)が救われるならとみんなコサイタスを見守ってきたのでしょう。

ラストのコマはクメルに向けてゼロ旋風を送っている現在のコサイタスです。

揺るぎなく沈まない光に向けて、御心のまま地獄を捧げる。

揺るぎなく沈まない光はヘリオスのことかと思います。地獄献上はヘリオスに地獄を捧げるという意味だったのですね。

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