あらすじ
紳士風の魔人が怪蟲の引く車に乗っています。御者も魔人の男です。
乗っている客の男が一年通い続けた娼館のルビーという娼婦の話をします。親に捨てられ娼館で育てられたせいか凶暴な性格ゆえに普通の客がつかず、男のような嗜虐嗜好の客がついてしまいます。
男は療術士で治癒できるのをいいことに、散々ルビーを死なない程度に傷めつけて来たことを御者に嬉々として語ります。
御者はうんざりして男に聞こえないような声で「クズが」と繰り返します。
ルビーはとうとう療術が効きづらくなり、「歌が聞こえる」などというようになり、娼館の主人は療術士の男に激怒します。
療術士の男はニセモノの宝石(ルビー)でルビーを買い取り今夜殺すことを決めたようです。
たどり着いた娼館は炎に包まれています。
炎の中から魔竜が現れ、怪蟲車を指先で弾き飛ばします。車が男の上にのしかかり、男は挟まれて動けなくなります。
一方逃げ出した御者は片手には刃物/片手には誰かの死体をひきづっている傷だらけの女性に会います。御者の体を魔竜が捕獲します。
「助けて!ルビーちゃん」と車に挟まれた男が叫んだので、御者はその女性がルビーと気づきます。
療術士の男はルビーが魔竜騎兵に選ばれたと悟り、宝石をあげるから助けるように懇願します。
御者の男は宝石がニセモノであることを教え、今まで話をうんざりしながら聞いていたとカミングアウトします。
ルビーは御者は味方じゃなく傍観していたことを指摘します。
話聞いてたのに、ずっと知らんぷりしてたんだ
みんなずっと自分の受けていた仕打ちを知っていたのに、黙って見ていただけだと。
ルビーは引きずっていた死体を投げ出し、宝石を手に取ります。
自分の命の値段か、とルビーを装着すると、御者に療術士を自分の代わりに痛めつけるよう命令します。
自分を傷つけた療術士と、ただ見ていて助けてくれようとしなかった御者双方に罰を与えます。
ちょいたし:完成無用あらすじ
この回のマンガワンではちょいたし[完成無用]が掲載されておりリンクしています。
オランドという男性彫刻家の元へ竜が訪れる話です。
竜はオランドが妻をモデルとした巨大像を完成させるのを待ち、
完成した日にオランドを魔竜騎兵に選びます。奇しくもルビーと同日であったといいます。
感想
一番気持ち悪かった回です。ルビーそりゃ「私には世界をふみにじる権利がある」とかなっちゃいますわ。
療術で治ったとしても痛みは感じていたわけだから、アンダーの受けていた拷問よりきついです。
拷問の最中、療術士も全裸なんですが、帽子だけかぶっているんですよね。なんか趣向がマニアックすぎて、、。
療術士がどんなひどい目にあったかは最後まで描いていないのですが、もう痛い思いたくさんすればいい!と思っちゃいます。
確か2巻のカバー裏の作者さんがこの時の療術士だったと思います。
カバー裏はその巻で一番ゲスい人を使っているとかいないとか。
彼がのちの人の命をカウントで捉えるような魔竜騎兵のルビーを作ったのだと思います。
せめて普通の娼婦として過ごしていたなら、あそこまでヤケになったり好戦的になってなかったのじゃないかなあ。でもカトラスが最強の竜になったのはルビーのこの性格ゆえでもありそうですね。
ルビーはこの時の宝石をずっとつけていますね。
映えある魔竜騎兵になっても、所詮ニセモノのルビーで売られた女だという戒めなのか、昔受けた屈辱を忘れないようにするためなのか。
この時のルビーが16歳位で、魔人なら7.8歳という説明なので、
魔人の年齢は人間の歳÷2くらいの換算になるのでしょうか。
魔人の寿命が30年と言われていたので、逆に人間の寿命は60年??
ずいぶん今より短くなっていますね。汚染地域などあるから人間も短命になったのでしょうか。
タイトルの環視無用は最初馴染みがない漢字でしたが、よく考えたら衆人環視の環視ですね。ぐるっと自分の周りから見られている様子、だそうです。
このお話が収録されている堕天作戦2巻も紙の本は売り切れですが、電子書籍はご購入いただけます。
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